2017-08-01から1ヶ月間の記事一覧

☆作品投稿☆「サツバツナイトガスライト(上)その9」☆短編☆

数日後。影山 アカリは混乱していた。原因は一通のメッセージだ。送り主はクラン。殺しの依頼だ。アカリは少なくとも5年以上殺しの依頼を請け負ったベテランだ。並大抵のことでは動揺しないし、殺した相手のことなぞ直ぐに忘れる。そもそも端っから興味を持…

☆作品投稿☆「サツバツナイトガスライト(上)その8」☆短編☆

「そうだ、アイサツがまだだったな。俺の名は陽ノ下 アキト。お前は?」 徐に攻撃を止めたアキトと名乗る男。だが、アカリにとってその名は聞いてはならないものだった。「えっ」と再び思わず声が出る。アカリはその名前をよく知っている。遥か昔の出来事だ…

☆作品投稿☆「サツバツナイトガスライト(上)その7」☆短編☆

「…………帰ろう」「何処へ?」「!!」気を緩めていたのか、ふと言葉を発してしまう彼女。シルエットで分かりにくいが、声が決定的に女のものだった。そう、かのニンジャはアカリなのだ。そして相対するはシャープなデザインの青いジンベイに身を包んだ男。腰…

☆作品投稿☆「サツバツナイトガスライト(上)その6」☆短編☆

「ハァッ!!」 スパァーン!!と小気味良い音を響かせながら、突如として何者かが天井裏から現れた。金丸 キンジの嫌な予感は当たる。だが1度取れた首は2度と元の位置に収まることはない。「グッ………カハッ……」そのありふれた焦げ茶色の瞳に最後に映ったのは…

☆作品投稿☆「サツバツナイトガスライト(上)その5」☆短編☆

トーキョーメガロポリスのガバナー、金丸 キンジは時代錯誤を疑うほど清廉潔白だ。数少なくなった現実を直視する人々の支持を得、ヤクザやその他威力勢力を縛る法律を作ろうと東奔西走、活躍は目覚しい。そんな彼は最近妙に胸騒ぎがしていた。(気圧が低いの…

☆作品投稿☆「サツバツナイトガスライト(上)その4」☆短編☆

アカリは徐にスマホを起動した。謎のルートで届けられるダイレクトメッセージを読むためだ。連日連夜仕事があるわけではないが、こうして定期的に確認するのは誰しもの必須スキルだ。(来てる………。)今回はどうやらメッセージが来ていたようで、そのまま流れ…

☆作品投稿☆「サツバツナイトガスライト(上)その3」☆短編☆

アカリは人目の多い場所を避ける傾向にある。それはアカリの本来の職業に起因する。彼女は普通の女子高生ではない。むしろ公共の場に存在することそのものが不自然な存在であった。彼女は、クランと呼ばれる組織の、名前も顔も声も知らない上層部から血生臭…

☆作品投稿☆「サツバツナイトガスライト(上)その2」☆短編☆

ハンゾウゲート・エリアと呼ばれる地域にキッソウ・ハイスクールという名の知れた高校が存在する。そこに通う影山 アカリは二年生だ。所謂花の女子高生というものだ。実際彼女は10人の健全な雄がいれば9人は目がパンチロックされてしまう美貌を持っている。…

☆作品投稿☆「インカーネイション」1話その1 Awaken ☆連載☆

ある日。 僕は死んだ。 死因はよく分からない。 あの日は確か、高校最後の思い出に、卒業旅行に来たんだった。そして、旅行先の全国一高い電波塔へ登った。全国一のパノラマはそれはそれはもう絶景で。テレビやネットでよく見るけど、直の目で見るものとは一…

☆作品投稿☆「サツバツナイトガスライト(上)その1」☆短編☆

天皇の世は去り烏合の衆が政を承った。無知なる者は禁忌に易々と触れ、核の炎が世界の各地を焦がし、消し去った。大戦に発展した斯くの事柄は世界に甚大な影響を及ぼし、大いに狂わせてしまった。その事実に気づいたのは、空が暗雲に立ち罩め酸と塩基の雨が…